生理のお悩み

主な症状と原因

生理痛

日常生活に支障をきたすほどの生理痛は、決して「普通」ではありません。
月経困難症は大きく2つに分かれます。特に原因となる病気がない「機能性」は若年層に多く見られます。一方、子宮内膜症や子宮筋腫などが原因の「器質性」は、20代後半から増加する傾向にあります。
現代医学の進歩により、生理痛への対処法は格段に増えました。低用量ピル、LEP製剤、漢方薬、ミレーナなど、あなたの症状、年齢、ライフプランに応じた選択が可能です。

原因

月経時の痛みの主犯は「プロスタグランジン」という生理活性物質です。子宮内膜が剥がれ落ちる際、この物質が子宮を強く収縮させて経血を排出します。
しかし分泌量が過剰になると、激痛を引き起こし、頭痛、腰痛、吐き気、下痢などの症状も誘発します。また冷え、ストレス、喫煙などがホルモンの分泌を増加させ、痛みの悪循環を生み出すのです。

生理不順

月経が早すぎたり遅すぎたり、量が多すぎたり少なすぎたりする不規則な月経は、体からの重要なサインです。
正常範囲は周期25〜38日、期間3〜7日です。24日以内の頻発月経は無排卵の可能性が高く、将来の不妊リスクにつながります。39日以上の稀発月経は、卵巣機能低下のサインかもしれません。
「ストレスで遅れているだけ」と軽視するのは禁物です。基礎体温測定や月経管理アプリを活用し、自分のリズムを知ることが第一歩となります。

原因

生理不順の背景には、様々な要因が関わっています。
月経をコントロールする視床下部-下垂体-卵巣系は精密機械のように繊細で、特に視床下部はストレスを敏感に察知するのが特徴です。極度のダイエット、過度な運動、精神的プレッシャーなどがあると、体は生命維持を優先し、生殖機能を後回しにしてしまいます。
また、多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）、高プロラクチン血症、甲状腺疾患などの内分泌疾患が原因となることもあります。

PMS（月経前症候群）

PMSになると、感情のコントロールが効かず、些細なことで涙が出たり怒りが爆発したり。体も心も自分のものではないような感覚に襲われます。
症状は実に多彩で、精神症状（イライラ、抑うつ、不安）から身体症状（乳房痛、浮腫、頭痛）まで数多く、なかには社会生活に支障をきたすPMDD（月経前不快気分障害）レベルに達する方もいらっしゃいます。

原因

排卵後の黄体ホルモン（プロゲステロン）急増が引き金となりますが、なぜ個人差が大きいのかはまだ明らかになっていません。
最新の研究では、ホルモン変動が脳内セロトニンやGABAなどの神経伝達物質に影響し、感情や行動の変化を引き起こすと考えられています。几帳面な性格、カフェイン依存、睡眠不足、栄養の偏りなども症状を増悪させます。月経周期と症状の記録により、自分のパターンを知ることが対策の第一歩です。

治療について

生活改善

薬物療法の前に試したいのが、生活習慣の見直しです。骨盤内血流の改善が、想像以上の効果をもたらすことがあります。
ウォーキングやヨガなど、無理のない有酸素運動の習慣化。体を芯から温めるために毎日の入浴も心がけてください。食事面では、月経前のカフェイン、アルコール、塩分を控え、カルシウムやマグネシウムなどを意識的に摂取しましょう。

鎮痛薬

プロスタグランジン合成を阻害するNSAIDsが、生理痛の第一選択薬です。
最大のポイントは「痛みの予防的投与」です。月経開始の予兆（下腹部の重だるさ、腰痛など）を感じたら、痛みが本格化する前に服用します。胃腸への負担を考慮し、食後服用を基本とし、必要に応じて胃薬を併用します。

漢方薬

東洋医学の知恵を借りて、体質から改善を目指すアプローチです。即効性は期待できませんが、2〜3ヶ月の継続で体の変化を実感できます。
体質に応じた処方が重要です。体に優しく、西洋薬との併用も可能なので、相乗効果も期待できます。

ピル

避妊薬のイメージが強いピルですが、月経困難症治療薬として高い効果を発揮します。排卵を抑制し、子宮内膜を薄く保つことで、プロスタグランジン産生を大幅に減少させてくれるのです。
保険適用のLEP製剤なら経済的負担も軽く、月経量減少、月経周期の安定化、肌荒れ改善などの副効果も期待できます。